夏の素材の採集も無事に終わって、やっと熱が下がった。

朝食を終えて、本日の予定についてフランと話をしていると、神官長とわたしが共に数日間留守にしたので、仕事が積み上がっている、と言われた。

「カンフェルかフリタークが早く神官長の代わりをできるようになってくれると良いのですけれど」

ハァ、とわたしが溜息を吐くと、護衛をしていたダームエルが困ったように眉を下げて肩を竦めた。

「ローゼマイン様、それはさすがに高望みが過ぎるかと……。フェルディナンド様の代わりは他の貴族でも簡単にできるものではございません」

「……そうですね。わたくしも代わりをするように、と言われれば困りますもの」

一人で神官長の代わりをするのが無理でも、複数人で仕事を分担すれば神殿が何とか回るように鍛えておかなければ、神官長が還俗してしまった以上、神殿を離れる回数は今まで以上に増えると思うのだ。

3の鐘が鳴り、フェシュピールの練習を終えて、神官長のお手伝いへと向かうと、神官長が非常に難しい顔でわたしを呼んだ。

「ローゼマイン」

「何でしょう?」

わたしが首を傾げると、神官長は顎を動かして説教部屋を示した。怒られるようなことをした覚えはないけれど、この視線と無言で顎を動かす仕草からは、ひんやりとした怒り以外の感情が見えてこない。

無条件に「わたくしが悪うございました」と謝りたくなる。むしろ、逃げたい。ギギッと音が出そうな硬い動きでフランを見上げて、視線で助けを求めてみるが、ゆっくりと首を振って拒否された。

……誰か助けて。

皆にそっと視線を逸らされながら、わたしは泣く泣く説教部屋に入った。説教部屋で向かい合って座ると同時に、神官長にじろりと金の瞳で睨まれて、ひぃっと息を呑みながら姿勢を正す。

「私は聞いていないが、夏の終わりにアーレンスバッハにいるジルヴェスターの姉が来るそうだな?」

「……あれ? 報告していませんでした?」

「聞いていない。重要なことだぞ」

「申し訳ございません」

わたしは領主夫妻が戻ってきた時に養父様の執務室で話した内容を神官長に伝えた。

前神殿長の死亡について神殿から返信してしまったことで、領主会議でいびられ、墓参りのためにエーレンフェストに来るらしい、と。

わたしが話をするにつれ、難しい顔をしていた神官長が、さらに難しい顔になっていく。

「待ちなさい。何故、彼女が領主会議にいるのだ?」

「何故って……アーレンスバッハの領主に嫁いだのですよね? エーレンフェストからはフロレンツィア様が領主会議にいらっしゃるのですから、当然アーレンスバッハからは養父様のお姉様がいらっしゃるのではありませんか?」

神官長の質問が理解できずに首を傾げると、神官長がゆるりと頭を振った。

「彼女は第三夫人として嫁いだのだ。第一夫人が出席する領主会議に同行するのはおかしい。実際、去年はいなかったはずだ。だからこそ、領主会議の最中に起こった前神殿長に関する一切合財を伏せておくことができたのだからな」

領主の補佐をして、政治に関わるのは第一夫人のみと決められているらしい。第一夫人と仲が良ければ、第一夫人の補佐をすることはあっても、第二夫人以下は基本的に政治には関われない。船頭多くして船山に上る状態を回避するためらしい。

「はぁ、そうなんですか……」

「全くわかっていないな?」

「全くではないです。わかっていることもあります」

第三夫人として嫁いでいったお姉さんが、今までアーレンスバッハの政治には関わることができない立場だったことはわかる。今年の領主会議に出席していたということで、第一夫人に繰り上がったこともわかる。

「けれど、それがわかったからと言って、情勢がどのように変わるのか、わかりません」

「それを全くわかっていないと言うのだ。政治に関わる第一夫人の実家は、良しにつけ、悪しきにつけ影響を受けやすい。近年のエーレンフェストではジルヴェスターのもう一人の姉が嫁ぎ、第一夫人であるフロレンツィアの実家がある西のフレーベルタークの影響が大きかった。それは知っているだろう?」

「小聖杯を押し付けられていましたからね」

相手が兄と姉なので、フレーベルタークの領主夫妻にウチの領主夫妻は弱いと聞いている。

「だが、フレーベルタークはまだマシだ」

フレーベルタークは政変に巻き込まれて、領地内が大変な状態になっているので、こちらが少し手助けをしてあげている状態で、多少優位な関係を築けているそうだ。

「アーレンスバッハは違う。あちらは政変でうまく時流に乗った大領地だ。そこの第一夫人ともなれば、これから先はアーレンスバッハの干渉が増えるだろう。断り切れぬ圧力などフレーベルタークの比ではない」

神官長が先にある面倒事を見据えるような目でそう呟く。周囲の領地の力関係は多少わかったけれど、それによってエーレンフェスト自体がどう変わるのかは、やっぱりわからない。

「養父様のお姉様は一体どういう方なのですか? わたくしはお名前さえ存じませんけれど」

「名前はゲオルギーネ。ジルヴェスターが生まれる前はエーレンフェストの次期領主と目されていたらしい」

「存じております。前神殿長が保管されていた手紙にその辺りの事情が書かれておりましたから」

「……聞いてないぞ」

わたしが「恋文だと思ったから、そっとしておきたかった」と告げると、ぴくぴくしているこめかみを押さえた神官長に特大の雷を落とされた。

恋文ならば、尚更、隠してはならないらしい。

「恋愛のように深い関係ならば、そちらも調べねばならないことの方が多い。犯罪者相手に勝手な隠匿はするな、馬鹿者! 共犯者にされたいのか!?」

「ごめんなさいっ!」

隠匿で共犯者に仕立て上げられる危険性について滔々とお説教され、わたしはしょぼんと肩を落とす。

「ハァ、まったく……。ジルヴェスターの母方の祖母がアーレンスバッハの領主の娘だったらしく、その縁でゲオルギーネは嫁入りしたと聞いている。……正直なところ、私もゲオルギーネについて詳しいことは知らぬ。私が城に入った時にはすでに嫁いでいたからな」

わたしが聞いた養父様の言葉によると、終わった話をいつまでも蒸し返し、ずっとチクチクと嫌味を言うような人らしい。兄弟間の争いを避けたいと心底思う相手だというのはわかったけれど、領主の座を継いだジルヴェスターに対してだけ、そういう態度なのか、皆に対してそういう態度なのかはわからない。

「一度だけ見かけたことはある。父上の……先代領主の葬儀には出席していたはずだ。だが、私は遠目に見た程度で、挨拶さえ交わしたことはない」

わたしはわけがわからなくて、何度か瞬きした。他領の領主の妻で、故人の娘がやってくるのだ。今回、領主の養女であるわたしでさえ挨拶させられるくらいなのだから、異母弟である神官長も挨拶くらいはさせられたはずだ。

「え? どうしてですか? 挨拶くらいは……」

「私はジルヴェスターの母親に疎まれ、先代が亡くなる少し前に神殿に入っていたので、神殿関係者として葬儀に出席していたのだ。親族として、その場にいたわけではないからな。当然、挨拶をするような相手ではなかった。それだけの話だ」

淡々とした言葉に、葬儀の場で親族の位置につくことも許されず、神殿関係者として遠目から父親を送る神官長の姿が脳裏に思い浮かんで、膝の上にあったわたしの手がグッと拳の形になる。

「それじゃあ、神官長は……父親の葬儀に親族として出られなかったってことじゃないですか」

「そうだが?」

「そうだが……じゃないですよ!」

何ということはないと言うように、片方の眉を上げた神官長に、わたしは思わず怒鳴った。

「家族との関係が薄い神官長が、父上と呼ぶんだから、先代領主は間違いなく神官長にとって大事な家族でしょ? その葬儀に家族として出席することもできないなんて、怒って泣く権利があるのに、どうしてそんな平然とした顔をしているんですか!?」

「……わたしに怒る権利があるとしても、何故、君が怒る? 君には関係ないだろう?」

こめかみを押さえた神官長が「理解不能だ」と呟く。

「だって、そんなの、すごく悲しいし、寂しいじゃないですか。……いずれ、わたしもそうなるんだなって思ったら、わたしにだって怒って泣く権利くらい……」

家族であっても、家族ではない今のわたしでは、家族の葬儀に呼ばれることは当然なく、下手したら、知らされることもない。完全に蚊帳の外で冥福を祈ることさえできないかもしれない。

「落ち着きなさい、ローゼマイン。……頼むから、今は泣くな。外聞が良くない」

「今、気にするところは外聞ですか!? 慰めるとか、そのまま気が済むまで泣かせるとか、ちょっとくらい優しさを見せてくださいよ!」

ガッと立ち上がって、わたしが優しさを要求すると、神官長は「まったく、君は面倒くさい」と言いながら手を引いて、わたしを抱き上げた。そのまま自分の膝の上に座らせて、フンと鼻を鳴らす。

「これで良いのだろう?」

そんなに得意そうな顔で言われても困る。慰められている気が全くしない。

「良くないですよ。全く優しさの欠片が見当たりませんって」

「涙が止まったようなので、それで良い」

わたしの怒りの主張は軽く流された上に、すぐさま膝から下ろされた。

その途端、溜息と共に、ふしゅる、と体中の力が抜ける。わたしは何とも言えない脱力感を覚えながら、もう一度長椅子に座り直した。

「話が脱線しすぎだ。とりあえず、ジルヴェスターの言葉によると、彼女は相当面倒な人柄をしているそうなので、くれぐれも気を付けるように」

「どう気を付ければよいですか?」

「決して一人にならず、側仕えと護衛を連れ歩くこと。出席しろと言われた宴以外はなるべく神殿にいることを心掛けなさい。私も本人を知らぬ以上、的確な注意はできぬ」

家族に関する愚痴は受け止めてくれないけれど、貴族関係に関する注意事項には細かい。過保護だけれど、優しさが足りない神官長を見ながら、わたしはもう一度溜息を吐いた。

……神官長が恋人と長続きしないわけがわかった気がする。

そして、夏が終わりに近づいたある日、ゲオルギーネはやってきた。神殿前を通り、貴族門が大きく開かれていくつもの馬車が連なって貴族街へと入っていくのが見えたことで、到着がわかった。

その後で、城から神官長のところへオルドナンツが飛んできて、ゲオルギーネの歓迎会が開かれることが知らされたようだ。わたしは神官長に呼び出され、歓迎の宴に合わせて、城に向かうようにと言われた。

「さぁ、さぁ、姫様。衣装はどれに致しましょう?」

城に着くや否や、歓迎の宴の準備である。口では尋ねながらも、すでにリヒャルダの心は決まっているようで、視線は一つの衣装をじっと見ている。

「リヒャルダが選んでくれたのではないの? わたくし、他領の方をお迎えする歓迎の宴は初めてですもの。よくわからないので、選んでくださいな」

「かしこまりました。お任せくださいませ」

夏の終わりということで、夏の貴色の衣装に秋の貴色の小物が選ばれた。髪飾りはいつもの豪奢な物ではなく、複雑に結われた髪に細かな刺繍がされたヴェールを被せられた。

「アーレンスバッハの女性は、公式の場において必ずヴェールを身に付けるのです。エーレンフェストにヴェールの習慣を持ち込んだのは、アーレンスバッハから嫁がれたジルヴェスター様のおばあ様でした。あの頃は皆がこぞって真似をして、ヴェールを付けるのが流行したのですよ」

リヒャルダが懐かしそうにそう言いながら、複雑に結った髪にピンを刺して、ヴェールが落ちないように止めていく。

「ゲオルギーネ様はどのような方ですの?」

「……大変な努力家でございましたよ」

リヒャルダの声が少し沈んで聞こえた。

そして、歓迎の宴は始まる。

本日の料理は懐かしい故郷の料理と馴染みのあるアーレンスバッハの料理ということで、わたしが流したレシピは封印されているらしい。あまり仲が良いようには思えなかったので、養父様が隠しているだけのような気もする。

広間に集っている貴族達の衣装は、リヒャルダが言ったようにアーレンスバッハ風のものが多かった。大半の女性はヴェールを付けているし、男性はシャツやズボンの上から、マントではなく、薄くて大きな一枚布を体に巻き付けるようにしている。

わたしと神官長を含む領主一族の入場の後、本日の主役であるゲオルギーネが入場してきた。

一目で高貴な貴婦人とわかる優雅な物腰で堂々と歩いて来る。薄いヴェールから透けて見える髪や目の色はジルヴェスターと似ているけれど、顔立ちはかなり違う。彫りが深くて、くっきりはっきりとした目鼻立ちをしている美人だ。

わたしとヴィルフリートが揃ってゲオルギーネの前に進み出た。ゲオルギーネが先代領主の娘であり、アーレンスバッハの第一夫人なので、挨拶はこちらから行うことになるのだ。

二人で並んで挨拶する。今まで挨拶を受けるだけだったヴィルフリートは結構苦労して憶えたと言っていた。

「火の神 ライデンシャフトの威光輝く良き日、神々のお導きによる出会いに、祝福を祈ることをお許しください」

ヴィルフリートと声を揃えて挨拶すると、ゲオルギーネは赤い唇をニッコリと吊り上げる。

「許します」

指輪に魔力を少し籠め、二人で祝福を終えて立ち上がると、ゲオルギーネはヴィルフリートに目を留めた。上から下まで眺めるように、緑の瞳がゆっくりと上下する。

「まぁ、本当に、幼い頃のジルヴェスターによく似ていること」

「私は父上に似ているのですか?」

嬉しそうなヴィルフリートにゲオルギーネは笑って頷く。

「えぇ、とても。とてもよく似ていてよ」

にこやかな笑顔で、とても優しそうな声を出しているのに、わたしの肌は何故かざわりと粟立った。思わず手首を軽く擦る。妙な感じがしたのはわたしだけだろうか。

周囲を見回すと、苦い顔をしているように見えるのは、珍しく感情を全く表に出さない能面のような顔をしている養父様だけだった。他の皆は、なんと神官長でさえ、微笑ましそうにゲオルギーネとヴィルフリートを見ている。

「伯母上はおばあ様によく似ていて、とても美しくていらっしゃる」

ヴィルフリートは全く何も感じないのか、無邪気に笑顔で話し続けているが、ほんの一瞬、ゲオルギーネの眉がピクリと動いた気がした。

「あら、そう? お母様は貴方をとても可愛がっていたのね?」

「はい!」

直後、にこやかな笑顔で進み出た養母様が、ゲオルギーネからヴィルフリートを隠すように前に出る。

「わたくしにもご挨拶させてくださいませ、ゲオルギーネ様」

そう言って、養母様が跪いた。わずかに目を伏せた養父様も養母様の隣に立ち、一度ゲオルギーネと視線を合わせた後、ゆっくりと跪く。

薄いヴェールの下、ゲオルギーネの唇がとても満足そうな笑みを形作ったのがわかった。

領主夫妻の挨拶が終わると、ゲオルギーネは「貴女がお手紙を下さった神殿長かしら?」とわたしを手招きした。ドクンと心臓が跳ねあがり、ビクッとしながら、進み出る。

「はい、わたくしです」

「知らせてくださって助かりましたわ」

そう言って優しく笑うゲオルギーネはとても上品で、ワンランク上の女性だと素直に賞賛できる美しさがあった。

「ジルヴェスターは昔から無精者でしたの。あの子が養父では苦労するでしょう? このように稚(いとけな)い子供を神殿長の職に就けるだなんて。象徴として立つだけでもどれほど大変なことか、わかっていないのですよ。本当に困ったこと」

身内同士の会話だから許容範囲なのだろうか? 上品な笑顔でものすごく養父様が貶されている。

ちょっとだけ頷きたくなるような部分はあったけれど、養女として守ってもらっている以上、とりあえずフォローした方が良いだろう。

「神殿長の職は確かに大変ですけれど、わたくしのことを考えてフェルディナンド様を後見人に付けてくださいました。養父様も色々と考えてくださっているのです」

「まぁ! 養い親となったにもかかわらず、他の者に養い子の後見をさせるなんて、わたくし、身内として本当に恥ずかしいわ。自分では何もせずに周囲に何もかもを任せるところが幼い頃から全く変わっていないではありませんか」

……ごめん、養父様。わたしのフォロー、全く役に立たなかった。

「優秀な後見人を付けていただくことができたのかしら? それとも……」

無能を押し付けられたのか、とは言葉にせずに、ゲオルギーネはわたしに憐みの視線を向けてくる。

彼女の脳内では豊富な魔力に目を付けられて無理やり養女にされた挙句、神殿長として無能な後見人を付けられてこき使われていることになっているようだ。視線と言葉の端々からそんな思惑が見てとれた。

「わたくしの後見人であるフェルディナンド様はとても優秀ですわ、ゲオルギーネ様」

「……フェルディナンド、どこかで聞いた名前だけれど……」

そう言いながら、ゲオルギーネは養父様に視線を向ける。「わたくし、紹介されていなくてよ」という声が聞こえた気がする。

能面のような感情を見せない顔をした養父様が、ちらりと神官長を振り返り、慇懃な態度で神官長を紹介する。

「姉上、こちらがフェルディナンド。異母弟です。姉上が嫁がれてから城に入ったので、面識はないと思われます」

紹介された神官長はすっと流れるような動きでゲオルギーネの前に進み出た。一度視線を合わせて微笑む。

……何事!?

神官長がものすごい笑顔だった。今までに見たことがないくらいにこやかな笑顔でゲオルギーネの前に跪いて挨拶する。

「火の神 ライデンシャフトの威光輝く良き日、神々のお導きによる出会いに、祝福を祈ることをお許しください」

「許します」

立ち上がった神官長はわたしの後見人であることについて、いくつかの質問を受け、それに眩しいくらいにキラキラした笑顔で答えていた。何と言うか、普段の愛想笑いの三倍くらいは優しそうで爽やかに見える。正直、普段の仏頂面とは同一人物には見えない。

……おかしいな。すごくいい笑顔なのに、逆にすごく嫌そうに見えるんだけど。

ゲオルギーネは領主一族との挨拶を終えると、貴族達の挨拶を受けるために広間を歩き始めた。エーレンフェスト出身のため、知り合いは多いようだ。

「ゲオルギーネ様、お懐かしゅうございます」

「まぁ、元気そうで何よりですわ」

「わたくし、ゲオルギーネ様の滞在中にお茶会を開く予定ですの。ぜひ、いらしてくださいませ」

「えぇ、ぜひ。楽しみにしているわ」

女性陣に囲まれていたかと思うと、男性にも声をかけられている。三十代より上の世代には懐かしく、馴染みのある方らしい。

「ゲオルギーネ様、相変わらずお美しい……」

「あら、貴方は相変わらずお口が上手ですこと。ほほほ……」

数多の貴族達の中心で華やかな笑みを浮かべながら、人を捌き、会話を弾ませる社交術はさすが大領主の妻だと思わせる素晴らしさだった。