The raws were pulled (real-time) from: https://ncode.syosetu.com/n4830bu/111/

「外で働かせるとは、一体何をさせるつもりだ?」

“What are you going to do when you work outside?”

「……貴族が食べているような料理を出すお店、レストランでの給仕です」

以前にわたしの部屋で話した時のことを思い出したのか、あぁ、と神官長が小さく呟いた。

“… It’s a restaurant serving restaurants that serve aristocratic cuisine”

「給仕をさせるということは、灰色神官の中でも、側仕えを経験した者でなければならないわけだな?」

「側仕え経験のある灰色神官は、物腰も柔らかくて、人当たりも良くて、姿勢も良いし、一番なんですけど、側仕えになったばかりのギルでもある程度できるようになっているので、教育すればすぐにできるようになると思います」

The chief of the priest shouted, wondering if I remembered when I spoke in my room before.

経験者が一人はいた方が助かるけれど、側仕え経験のある灰色神官でなくても、特には問題ない。孤児院の子達は、見ている対象が側仕えや青色神官で、暴力はいけないと教え込まれるせいなのか、閉じ込められ、従うことを生まれた時から教えられるせいか、基本的におとなしくて従順だ。

お手本が身近にいるので、教育するのもそれほど大変ではない。

“Do you mean that you have to be a part of the gray priest who experienced side serving?”

「……すぐにできるようになるならば、下町の平民を教育すればいいだろう?」

「貴族を身近に知っているかどうかという点で大きな違いがあるのです。姿勢とか、物腰とか、言葉遣いとか……」

“Gray priests with experience in side serving are soft, conscientious, have a good attitude, and best, but they can do to some extent even with gils that have just been served. I think we will be able to do it soon. ”

教育が簡単ならば、ベンノも悩まないのだ。下町の飲食店の給仕は大体が売春婦も兼ねた女給だ。そして、忙しい時は料理人見習いも駆り出されるけれど、基本的に程度の低い仕事だと思われている。

給仕として雇わなければならないが、募集してもやってくるのは間違いなく貧民に近い女性ばかりになるだろう。それでは、店の高級な雰囲気が壊れてしまう。教育するにも、ルッツが大変な苦労しているように、姿勢や言葉遣いの全てを改めるのは簡単な事ではない。

Although it is helpful to have one experienced person, even if it is not a gray priest with experience in serving, there is no problem. The children of the orphanage are basically submissive and obedient, whether they are being served or sided by blue priests and are taught to be violent or confined and taught from the time they were born It is.

「ベンノの店ならば、それほど質は悪くないだろう? あの時の従者ならば、務まると思うが?」

神官長が知っているベンノの従者はマルクだ。マルクはギルベルタ商会の中でも群を抜いて優秀なのだ。マルクが教育しているので、従業員は誰もが物腰も言葉遣いも良いけれど、彼らに給仕はさせられない。

Because the model is familiar, it is not so difficult to educate.

ベンノの店で契約しているダルアは、基本的にギルベルタ商会と繋がりを持ちたい商人の子供達だ。服飾関係の仕事や書類仕事ならばともかく、給仕は仕事内容に入っていない。また、させたら、大変な反発を食らうはずだ。

「側仕えであった灰色神官ならば、できて当然の仕事ではあるが、後見人もなく、働かせることができるのか? 一体誰が後見人になるのだ? そして、その者だけが給与を得れば、孤児院内でも格差が生じることになるが、それについて、君の見解は?」

“… If I can do it right away, should I educate the commoners in the downtown area?”

一人くらいなら、ベンノが後見人になれるかもしれないが、何人も必要な給仕全ての後見人になれるかどうか、わたしにはわからない。そして、孤児院で起こる給料格差については、全く考えが及んでいなかった。

「……すぐには答えられません」

“There is a big difference in whether or not you know the aristocratic family. Whether it’s posture, attitude or language …”

「さもありなん。そう簡単な問題ではないからな」

神官長はゆっくりと息を吐きだした。簡単な問題ではないけれど、その解答がない限り、許可が得られないことはわかった。

If education is easy, Benno will not bother. Most of the restaurants in downtown restaurants serve as prostitutes. And while busy, chef apprentices are driven out, but it is basically considered to be a low grade job.

「今日すぐに許可をいただこうとは思っていません。ただ、神官長のお考えを伺いたかったのです。……灰色神官を外に出すことに関して、神官長はどうお考えですか?」

わたしの質問を真っ直ぐに受け止めて、軽くこめかみを指先で叩いた神官長は少し目を細めて考え込んだ。

Although I have to be hired as a waitperson, I am sure that only women close to the poor will come after recruiting. Then, the high-class atmosphere of the store will be broken. In order to educate, it is not easy to change all the attitudes and wording, as Lutz is having a hard time.

「ふむ。そうだな。……厳しいと思っている」

「厳しい?」

“If it’s a Benno store, wouldn’t it be so bad? If you were a follower at that time, would you do the job?”

「君を見ていればわかるが、外と神殿では大きな違いがあるだろう? 神殿の中しか知らない灰色神官達がいきなり外の世界に馴染めると思うか?」

フランやギルを連れて、初めて外を歩いた時のことを思い出して、ゆっくりと頭を振った。

Benno’s follower, known by the Priest, is Marc. Marc is by far the best in Gilberta. Because Marc is educating, all employees are good at speaking and speaking, but they are not allowed to serve them.

「レストランの中だけならば、何とかなると思います。それ以外は……」

貴族の部屋を模したレストランの中で客を貴族に見立てて接する仕事中ならば、給仕する灰色神官達の行動が基本的に正しいことになる。商売としてのやり取りがあるけれど、マイン工房での言動を見れば、大丈夫だと思う。

Darua contracted at Benno’s shop is basically merchant children who want to connect with Gilberta. Whether it’s clothing-related work or paperwork, waiters are not included in the work. Also, if you let it happen, you will have a great rebound.

だが、一歩レストランの外に出ると、そこは完全に神殿の常識が通じない世界になる。

「それに、働きに出ることで、外を知った神官が外での生活を望んだらどうする? 君に外での生活が保障できるのか?」

“A gray priest who was a side servant is a natural job, but can I work without a guardian? Who will be a guardian?” And only that person can get a salary In the Orphanage, there will be disparities, but what are your views on that? ”

「それは……難しいと思います。わたしは子供なので後見人にはなれませんし、ベンノさんに頼んだとしても、用意できるのは住み込み見習いと同じ扱いになるでしょう。何もかも神の恵みとして与えられることに慣れている神官が外で、一人で生活するのは厳しいです」

神殿の下働きをして、戻ってきたらご飯がある。特に今はマイン工房がトロンベ紙で稼いでいるので、ある程度みんなが満足できる程度にはご飯が食べられる。神殿の外で生活するとなれば、仕事の後に自分で作るか、外で食べるかになるが、貴族の食事を分け与えられることに慣れている神官に外の味が我慢できるとは思えない。

If there is only one person, Benno may be a guardian, but I don’t know if any person can be a guardian of all the required waiters. And the salary gap that occurred at the orphanage was completely unthinkable.

仮にご飯問題は賄いで解決しても、買い物をしたことがなくて、お金の概念や使い方がいまいちわかっていない神官を外に出すのは、少し怖い。

「それから、これが私にとっては一番重要なのだが、孤児だった者を雇うことに関する世間の目はどうだ? 好意的に受け入れてくれるのか? そうではないだろう?」

“… I can’t answer right away”

「……厳しいと思います」

わたしが神殿に入ろうとした時の家族の反応を考えても、孤児に対する風当たりや神殿に対する意識はあまり良くなかった。仕事内容を見てもらえば、評価はされると思うが、それまでの偏見の目はかなりきついと予想できる。

“Sorry, it’s not that simple.”

「さらに、神殿内で働く者との間に、外へ出ることで生まれる格差が原因で、孤児院に居るのが辛くなる可能性はないのか? 確か、ルッツという少年の家族の軋轢も、仕事の業種が変わったことから始まったのではなかったか?」

「……はい」

The priest slowly exhaled. It wasn’t a simple question, but I knew that I couldn’t get permission unless I got the answer.

仕事の種類が違えば、給料も違う。みんな平等をうたっている神殿、孤児院の中で格差が生じるのは、それまでの常識が通用しなくなるのだから、ルッツの家族で起きた軋轢よりもひどいことになるかもしれない。

そして、わたしは孤児院長という肩書をもらっている以上、その混乱を収拾しなければならないのだ。

“I don’t want to get permission right away. I just wanted to hear from the chief priest … What do you think the priest thinks about going out of the gray priest?”

……怖いな。

急激な変化による混乱は先が全く予測できない。その全ての責任を取れるかと言われると、逃げ出したくなる。

Listening to my questions straight, the priest who struck the temple lightly with his fingertips narrowed his eyes and thought.

わたしの中の怯えを見通したように、神官長の鋭い視線がわずかに緩んだ。

「マイン工房で働く分には問題ないと思っている。君が言った通り、収益も出ているし、孤児院の環境も整った。ベンノ達商人が出入りし、森との往復だけだが外と触れあうことで子供達が元気になっていると聞いた。だが、神殿内で、神殿の規則に則った上で、少しの外と触れながら仕事をするのと、外に出て、外の規則に則って働くのは大きな違いがあるはずだ」

“Fum. Yeah … I think it’s tough”

「そうですね」

わたしが頷くと、神官長は私が納得したことに少し安堵の表情を見せた。

“Tough?”

「何より、ベンノが後見人になると言っても、私はまだベンノをよく知らない。下働きとして灰色神官達を買っていく下級貴族より、信用が置ける対象なのかどうかの判断基準さえない。レストランという場所が、神官達にとって働ける環境かどうかもわからない」

「じゃあ、神官長が試食会に来てくだされば、環境なんかをご自分の目で見て判断していただけるんじゃないですか?」

“If you look at it, you can see, but is there a big difference between the outside and the temple? Do you think that the gray priests who know only inside the temple suddenly become familiar with the outside world?”

わたしが神官長に笑顔で提案すると、神官長は呆れたように肩を竦めて、首を振った。

「何を企んでいるのか知らないが、よからぬことを考えていることが顔に全部出ているぞ。感情は隠せるようになりなさい。……とにかく、マイン工房までの商人の立ち入りは認めるし、仕事内容を増やすことは許可できるが、神官が外に働きに出るのは却下する」

¡Swirled his head slowly, remembering the first time he walked outside with Franc and Gil.

却下されることは予想していたので、それほどのガッカリ感はなかった。むしろ、少しずつ変えていって、そのうち神官長に認められれば良いと思う。

「……わかりました。レストランができるまでの間に、ゆっくりでもいいので、神官長にベンノさんのことをわかってもらえるように努力します。ベンノさんが」

“If it’s just in the restaurant, I think it will be somehow. Otherwise …”

「君が努力するのではないのか?」

「多少はしますけど、わたしは他に努力することが山積みなのです」

If you are working in a restaurant that mimics the room of an aristocrat, looking at a customer as an aristocrat, the act of serving gray priests is basically correct. There is a business exchange, but if you look at the behavior at the main workshop, I think it’s okay.

「なるほど」

クッと小さく神官長が笑った。「貴族らしい振る舞いを身につける方を優先しなさい」と。

However, when you step outside the restaurant, it becomes a world where the common sense of the temple is completely incomprehensible.

……わたしが優先するのは、これから生まれる赤ちゃんのための絵本作りですけどね。

「そういうわけで、神官が外に働きに出るのは却下されました」

“And what if a priest who knew outside wanted to live outside by going to work? Can you guarantee life outside?”

神官長との会食があった次の日、わたしはベンノの店でいつも通り報告をした。貴族の会食で目についたことを列挙した上で、神官が外に出ることは却下されたことを報告する。

ベンノも却下されることを想定してのか、「やはりな」と呟いていた。

“That’s difficult … I’m a child and I can’t be a guardian, and even if I ask Benno-san, what I can prepare will be the same as a living apprentice. It ’s hard for a priest who is accustomed to being given to live outside, alone ”

「なぁ、マイン。工房までの立ち入りが許されたわけだから、マイン工房の仕事に給仕教育を入れないか?」

「うーん、紙作りができない冬の間の外貨稼ぎにはちょうどいいかもしれませんね。でも、手仕事をさせるつもりなんですけれど」

Servants of the temple and have food when they come back. In particular, since Mine Kobo now makes money with Trombe, you can eat rice to the extent that everyone can be satisfied. If you live outside the temple, you will either make it yourself after work or eat it outside, but I don’t think you can endure the taste of the priest who is used to sharing aristocratic meals.

冬は薪や食料が大量にいる季節だ。森で探すこともなかなかできないので、どうしても購入が必要になる。雪の中に閉じ込められるので、暇潰しを兼ねて金稼ぎができる手仕事は大事なのだ。

「孤児院では何をさせるんだ?」

Even if the rice problem is solved with a bribe, it is a little scary to leave a priest who has never shopped and does not know the concept and usage of money.

「色々とおもちゃ作りを予定しています。木工工房から板をたくさん仕入れたいんですけど、ベンノさんのお知り合いの工房の方はレストラン準備で忙しいんですよね? 他の工房を紹介してくれませんか?」

これ以上、レストランへの納期が延びるのは勘弁してもらいたい。ここでは普通だと言われても、わたしには計画倒れになる気がして堪らない。

“And this is the most important thing for me, but what about the public’s eyes about hiring an orphan? Will you accept it favorably? Isn’t it?”

「他、か……」

「これは孤児院の冬支度になるので、納期が大事なんです」

“… I think it’s tough”

他を紹介することをベンノは渋るけれど、正直言って、頼んだ仕事を後回しにされても困る。確実に納品してくれるところに頼みたい。

「付き合い上、ベンノさんが紹介するのがそれほど難しいなら、他の人に紹介してもらってもいいんですけど?」

Considering the reaction of my family when I tried to enter the temple, I wasn’t very good at orphans and awareness of the temple. If you look at the job, you will be evaluated, but you can expect the prejudice to be quite tight.

「お前の他の人はフリーダだろう? 駄目だ」

ベンノがくわっと目を見開いた。フリーダなら、ベンノとは間違いなく別の工房を知っていると思ったのだが、わたしが名前を出す前に却下されてしまった。

“Furthermore, isn’t there a possibility that it will be difficult to stay in an orphanage due to the disparity that arises by going outside in the temple? Wasn’t it started when the job industry changed? ”

「……仕方ない。工房の親方に話を通した上で、別の工房を紹介してもらおう」

「じゃあ、先にインク工房をお願いします。インクも欲しいんです。むしろ、板だけあってもインクがなかったら意味がないんですよ」

“… Yes”

わたしが、インク、インク、と何度か言い募ると、ベンノは面倒くさそうに頭を何度か掻いた後、立ち上がった。ガッとわたしを抱き上げて、大股に歩いて部屋を出る。

「マルク、マインを連れて、インク工房と木工工房を回ってくる。ルッツ、来い」

Employees with different types of salary have different salaries. The disparity in the temple, orphanage, where everyone praises equality, may be worse than the trap that happened in the Lutz family, because the common sense so far ceases to work.

「はい、旦那様」

わたしはベンノに抱きかかえられたまま、インクを売っている店に行った。

And since I have the title Orphanage Director, I have to keep up with the confusion.

そこで棚に並べられているインクの値段を確認して、あまりの値段の高さに印刷事業への道のりの遠さを感じる。

「他のインクはないですか?」

… I’m scared.

「ここでは売ってないよ。どうしても気になるなら、直接工房に行ってごらん」

項垂れるわたしの横でベンノがインクを作っている工房の場所を聞いて、今度は職人通りへと向かった。

The confusion caused by sudden changes cannot be predicted at all. When you are told if you can take all of that responsibility, you want to escape.

職人通りのインク工房に行くと、雑多な臭いで鼻がツンとするのを感じる。ベンノに下ろしてもらって、自分で歩いて工房に入った。

「……客が直接こっちに来るなんて珍しいな。こんなところに何の用だ?」

The head of the priest’s sharp line of sight was slightly relaxed, as I expected the barking in me.

インクを必要とするのは、字の読み書きができる富豪層に限られるので、工房ではなく、取り扱っている店で注文するものらしい。薬品のようなきつい臭いがする工房にやってくる者はいないようだ。

顔や服のあちらこちらに黒い染みがついている工房の親方が、怪訝そうな顔でわたし達をじろじろと眺める。色素を抽出したり、インクの配合をしたりするのは細かい仕事なのだろう。神経質そうな男の人だ。

“I think there’s no problem with working at the Mine workshop. As you said, it’s profitable and the orphanage environment is in place. Benno and other merchants come in and out and return to the forest. However, I heard that the children were doing well by touching the outside, but in accordance with the rules of the temple and working while touching a little outside, I went outside. There should be a big difference in working according to outside rules. “

「あの、作られているインクの種類が知りたいんです」

「種類?」

“That’s right”

わたしの質問に、親方は普通にしていても刻まれている眉間の皺を更に深くして、わたしを見下ろした。

「はい。どんな風に作っているのですか?」

When I asked, the priest showed a little relieved expression that I was convinced.

「嬢ちゃん、製法は余所に教えるものじゃないんだ」

話にならないと言いたげに鼻を鳴らした親方が、今にも話を切り上げそうで、わたしは慌てて言葉を足す。

“But most of all, Benno is a guardian. I still don’t know Benno well. I don’t even have a standard to judge whether it’s a trustworthy target from a lower noble who buys gray priests as a subordinate. I don’t know if the restaurant is a working environment for the priests. “

「製法を知りたいわけじゃなくて……インクの種類が知りたいんです。『没食子(もっしょくし)』インクなのか、『ランプブラック』なのか、粘度の高いインクを扱っているのか……。そういうことが知りたいんです」

「……はぁ? 何だって?」

“Well, if the chief came to the tasting party, wouldn’t you be able to judge the environment with your own eyes?”

わたしがこの世界でインクの種類の名前を知らないので、親方には全く通用しないようだ。何とか情報を引き出そうと、わたしは自分が知っている単語の中で、インクの種類を特定できないか、必死に考える。

「えーと、ここではインクは何種類扱っていますか?」

When I proposed to the chief with a smile, the chief gave up his shoulders and shook his head as if amazed.

「インクはインクだ。一つしかない」

当たり前のことを聞くな、と親方が肩を竦める。

“I don’t know what I’m planning, but there’s everything on my face that I’m thinking about bad things. Be able to hide your emotions … Anyway, the merchants up to Mine Kobo You can enter, and you can allow more work, but the priest refuses to go outside. “

「それじゃあ、大まかな作り方をこちらが言うので、どんなインクを作っているか、教えてください」

「あぁ」

I expected to be rejected, so I didn’t feel so disappointed. Rather, I would like to change it little by little and eventually be recognized by the priest.

面倒そうに軽く目を閉じた後、親方がゆっくりと頷いた。

多分没食子(もっしょくし)インクが作られているのではないかと仮定して、わたしはその製法をなるべくわかりやすく簡単に説明する。

“… I understand. Until the restaurant is open, it’s okay, so I’ll try to get the chief to know Benno. Mr. Benno”

「植物の瘤から染料を取り出して、発酵させて、鉄イオン……鉄の塩を混ぜ合わせて、木の皮の……」

「それだよ! なんで知ってるんだ!?」

“Do you make an effort?”

息を呑んだ親方が先程までの面倒そうな表情をかなぐり捨てて、身を乗り出してきた。あまりの勢いにわたしは一歩後ろに下がりながら尋ねる。

「他の種類はないんですよね?」

“I do a little, but I have a lot of other efforts”

「……他のインクがあるのか?」

目を細めた親方の反応から察するに、どうやらここでは本当に没食子(もっしょくし)インクしか扱っていないようだ。ガッカリした気分を拭えず、わたしは肩を落として首を振った。

“I see”

「作ってないならいいんです。買うのは、ここで注文するよりお店で買う方が良いんですよね?」

「あぁ、そうだが……。って、ちょっと待て! なんで知ってるんだ!?」

The priest chief smiled laughingly. “Prefer those who have a noble behavior”.

「なんでと言われても、興味があるから覚えていただけです」

ベンノの後ろに隠れながら答えると、親方はゆっくりと溜息を吐いた。腕を組んでしばらく何か考えた後、一歩後ろに下がった。

…… I have priority in making picture books for babies born.

「嬢ちゃん、他にもインクがあると言ったな?」

「はい、言いました。当てがあるんですか?」

“That’s why the priest was denied work outside.”

わたしが少しだけ顔を出して、親方を見上げると、親方は渋い顔で頭を振った。

「いや。……嬢ちゃん、名前は?」

The day after the meeting with the priest, I reported as usual at the Benno store. Report what the priests were out of, after listing what they saw in the noble dinner.

「ギルベルタ商会のベンノが後見人だ。話があるなら、こちらに頼む。質問はそれだけだ。邪魔したな」

ベンノはわたしの口を押さえて名乗りを止めると、わたしを抱き上げて、踵を返す。

Benno also asked if it was supposed to be rejected.

ベンノの背中、抱き上げられているわたしにとっては正面から、親方の視線が投げかけられた。

「……ギルベルタ商会だな。わかった」

“Now, Mine. Because I was allowed access to the workshop, could I put a waiter education in the job of the Mine workshop?”

インク工房を出て、今度は木工工房に向かう。その道すがら、わたしはベンノのお説教を受けていた。

「お前は……いきなり何を言い出すんだ!?」

“Well, it might be just right for earning foreign currency during the winter when you can’t make paper, but I’m going to do handwork”

「え? インクの種類を確認しただけですけど?」

「もうちょっと何とか……あぁ、お前には無理か」

Winter is a season with lots of firewood and food. You can’t find it in the forest, so you have to buy it. Because it is trapped in the snow, handicrafts that can make money while killing time are important.

喧嘩を売ったつもりもないし、穏便にお話しただけだと思うのだが、ベンノから見るとそうではなかったらしい。だが、ここではインクの種類がない以上、他にどんな聞き方があると言うのか。墨とか印刷用インクと言っても通じるとは思えない。

「インクが一種類と聞いた時から予想はしてましたけど、作られているのは『没食子(もっしょくし)』インクだけでしたね」

“What do you do in an orphanage?”

没食子(もっしょくし)インクはヨーロッパで一般的に使われていたインクだ。製造の容易さと耐久性、耐水性の高さから広く使われていた。墨とは違って、羊皮紙に書くにはしっかりと付着し、こすったり洗ったりしても消すことができない点も長所だ。

しかし、鉄分が混じり酸化するので、乾かされたインクが繊維の間に絡みついて、筆記面が腐食する。羊皮紙と比べて植物紙の方が腐食は速くて、数十年や数年で文字の部分に穴が開いてしまうこともある。

“I’m planning to make a lot of toys. I want to buy a lot of boards from the woodworking workshop, but Benno’s acquaintance’s workshop is busy preparing the restaurant, right? Would you please do it? “

これから生まれてくる赤ちゃんや保存しておきたい本に使うには、ちょっと問題があると言える。燃えにくいトロンベ紙なら鉄分の酸化くらい何ともなさそうだが、今度はコストがかかりすぎてお手上げだ。

「やっぱりインクも自分で作った方がいいのかな?」

I would like you to take into account that the delivery time to the restaurant will be further extended. Even though it is said to be normal here, I can’t stand it because I feel like a plan collapses.

植物紙に書くなら、墨の方が適しているかもしれない。没食子(もっしょくし)インクにしても、酸性を薄めて中性に近付ければ良いのかもしれないが、それこそ既得権益に喧嘩を売るようなことになりかねない。没食子(もっしょくし)インク以外のインクを開発する方が良さそうだ。

「ぁん? インク協会に正面から喧嘩売るのか?」

“Others …”

「なんでわくわくしてるような顔をしているんですか? 別に喧嘩を売るつもりなんてないですよ」

……わたしなんて、好戦的なベンノさんに比べたら、平穏で穏便この上ないと思うんですけど?

“This is an orphanage winter preparation, so delivery is important.”

「インクが色々あったら比べて買うだけで終わったのに、作らなきゃいけなくなったんだから面倒だなぁ、と思ってますけど、基本的に争い事は嫌いなんです」

わたしの反論にベンノは面白くなさそうに鼻を鳴らして、歩き始める。ベンノの歩みに揺られながら、わたしは一人でインクについて考えた。

Benno feels reluctant to introduce others, but to be honest, it’s a problem even if you postpone the job you asked for. I’d like to ask for a place to deliver surely.

「植物紙には『墨』の方がいいかも。でも、版画にしようと思ったら、ある程度粘度の高いインクが欲しいんだけど。あ、ちょっと待って。『博物館』には『古代中国』の版画があったし、『墨』で何とかなるのかな? いっそ、『油性絵具』を作ってみる? それとも、『岩絵具』? クレヨンは擦れたら汚れるから、版画や絵本にはちょっと向かないよねぇ」

麗乃時代に「これなら興味が持てるでしょ?」と言った母親と一緒に没食子(もっしょくし)インクも油性絵具もクレヨンも作ってみたことはあるけれど、どれもこれも材料は店で買ってくることができた。ここでは器材と材料を揃えるのが大変だ。

“If Benno-san is difficult to introduce because of the relationship, can I have someone else introduce me?”

……クレヨンなんて口紅やリップクリームのケースに入れて固めたもんね。絵具を詰める密閉容器にしてもそうだけど、ここでは何を使えばいいんだろうね? 

「おい、ルッツ。マインは何を言っているんだ?」

“Is your other person a Frida?

「考えていることが勝手に口から漏れているだけだから、聞き流していればいいです。きちんと自分の中で答えが出るまで、このままです」

「……そうか」

Benno opened his eyes. I thought Frida would know a different workshop from Benno, but it was rejected before I gave her name.

何を作るにしても、顔料を揃えるのが難しい。煤鉛筆の時と同じように、また煤をかき集めてくるしかないのだろうか。

「うーん、でも、昔と違って、今は膠(にかわ)も蝋も手に入れようと思えば、手に入るから、かなり条件は変わってるんだけど……」

“… I can’t help it. Let’s talk to the master of the workshop and introduce another workshop.”

釘を一本買うお金もなかった頃に比べると、今はまだ材料が手に入りやすくなっている。あの頃よりは確実に難易度は下がっているはずだ。

「ねぇ、ルッツ。紙の時と同じで、ひとまず試作品くらいは作らないと、こういうのが欲しいって言ってもわかってもらえないよね?」

“Now, I’d like an ink workshop first. I want ink. Rather, even if there is only a board, it’s useless if there is no ink.”

わたしがベンノの肩から身を乗り出すようにしてルッツに問いかけると、ルッツはやれやれと肩を竦める。

「……決まったのか? どんなインクを作るんだ?」

When I asked for ink several times, Benno stood up after scratching his head several times. Hold me up and walk out to leave the room.

「版画のインクになりそうな物を片っ端から作ってみる。一番良くできたので、絵本を作るよ」

一緒に頑張ろうね、とルッツに言うと、ルッツは大きな溜息を吐いた。「まだ絵本を諦めてなかったのか」と。

“Marc takes Mine and goes around the ink and woodworking workshops. Lutz, come.”

「赤ちゃんへのお姉ちゃんからのプレゼントだよ? 諦めるわけがないでしょ?」

「……だよな? やっとマイン工房が落ち着いてきたと思ったのに、また忙しくなりそうだ」

“Yes, my husband”

そう言ってルッツは困ったように、でも、やりがいを見出したように笑った。

I went to a store selling ink while being held by Benno.

Therefore, I check the price of the ink on the shelf, and feel the distance to the printing business because of the high price.

“Are there other inks?”

“I don’t sell here. If you really care, go directly to the workshop.”

Listening to the location of the workshop where Benno is making ink beside me, I headed to the craftsman’s street.

When I go to a craftsman’s ink workshop, I feel a stuffy nose with miscellaneous odors. I got Benno down and walked myself into the workshop.

“… It’s unusual for a customer to come directly here. What is it for?”

Since ink is needed only by rich people who can read and write characters, it seems to be ordered at a store that handles it, not at a workshop. No one seems to come to a workshop that smells like a medicine.

The master of the workshop, with black spots all over the face and clothes, gazes at us with a suspicious face. Extracting pigments and blending inks is a fine job. A man who seems nervous.

“I want to know what kind of ink is made”

“Type?”

In my question, my parents looked down on me, making the eyebrows between the eyebrows even deeper, even though they were normal.

“Yes, how are you making it?”

“Miss-chan, the recipe isn’t something to teach”

The parent who screamed when he told me that he wouldn’t talk, seems to finish the talk, and I hurry to add words.

“I don’t want to know how to make … I want to know the type of ink.” Gables ( Mosshoku [ 19459097]) “Is it a“ Lamp Black ”ink, or a high viscosity ink? … I want to know that.”

“… What? What?”

Since I don’t know the name of the ink type in this world, it doesn’t seem to work for my parents at all. I’m desperately thinking if I can’t identify the type of ink in the words I know, to get some information.

“Well, how many types of ink do you handle here?”

“Ink is ink. There is only one”

Parents give up their shoulders, not to ask for anything else.

“Tell me how to make this, so please tell me what kind of ink you are making”

“Ah”

After closing his eyes lightly in a troublesome manner, his parents slowly crawled.

Perhaps Curry ( Mossy ) Assuming that ink was made I will explain the process as easily and as easily as possible.

“The dye is removed from the plant lobes, fermented, iron ions … mixed with iron salt, and the bark of the tree …”

“That’s it! Why do you know!”

The sighing parent has ridden the previously troublesome expression and embarked on himself. With so much momentum I ask while stepping back one step.

“There are no other types, right?”

“… Is there other ink?”

From the reaction of the parents who narrowed their eyes, it seems that they are really here Gables ( Mosshoku ) It seems that they only handle ink. I couldn’t wipe off my disappointment, and I dropped my shoulders and shook my head.

“If you haven’t made it, it’s better to buy it at a store than order it here?”

“Oh, but … wait a minute! Why do you know?”

“Whatever you say, just because you’re interested, just remember”

Hiding behind Benno and answering, the parent slowly exhales. After crossing his arms and thinking for a while, he went back one step.

“Miss-chan, did you say there is more ink?”

“Yes, I said. Is it true?”

When I looked up a little and looked up at the parent, the parent shook his head with a bitter face.

“No … Miss-chan, what’s your name?”

“Gilberta’s Benno is a guardian. If you have a story, ask me. That’s it. That’s not disturbing.”

When Benno holds my mouth and stops driving himself, he picks me up and returns a spear.

For me who was holding up Benno’s back, the gaze of his master was thrown from the front.

“… It ’s Gilberta. I understand.”

Leave the ink workshop and head to the wood workshop. On the way, I was receiving Benno’s sermon.

“What do you mean … suddenly?”

“Huh? I just checked the type of ink?”

“It’s a little more … Oh, it’s impossible for you”

I didn’t intend to sell the fight, but I think I just talked about it moderately. But what else do you say here because there are no ink types? I don’t think that ink or printing ink can be understood.

“I was expecting it when I heard that there was one kind of ink, but it was made gallic ( ) 』It was only ink.”

Curry ( Mossy ) Inks were commonly used in Europe It is. Widely used because of its ease of manufacture, durability, and high water resistance. Unlike ink, it has the advantage that it adheres well to writing on parchment and cannot be erased by rubbing or washing.

However, since iron is mixed and oxidized, the dried ink is entangled between the fibers and the writing surface is corroded. Compared to parchment, plant paper is faster to corrode, and in some decades or years, there may be holes in the letters.

It can be said that there is a problem with using it for newborn babies and books that you want to keep. Trombe paper, which does not burn easily, seems to be nothing more than iron oxidation, but this time it is too expensive to raise.

“Is it better to make ink yourself?”

If you write on plant paper, ink may be more suitable. Curry ( Mosshoku ) Even if the ink is diluted, it becomes more neutral It may be good, but it can be a fight for vested interests. Curry ( Mossy ) It seems better to develop ink other than ink.

“Ann? Do you sell to the Ink Association from the front?”

“Why are you so excited? I’m not going to sell another fight”

…… I don’t think I’m more peaceful and comfortable than Benno-san, who is fighting.

“If you have a lot of ink, you just have to buy it and you’ve got to make it, but it’s troublesome, but basically I don’t like fighting.”

¡Benno screams with no objection to my objection and starts walking. I was thinking about ink by myself, as Benno walked.

“Ink” may be better for plant paper, but if you want to make a print, I’d like some ink with some viscosity. Wait a minute. “Is it possible to make some” oil paint “or” Iwa Paint “or” Iwa Paint “? The crayons get dirty when rubbed, so they are not suitable for prints and picture books.

Together with a mother who said, “You may be interested in this?” During the Reino period Carved ( Mosshoku ] 19459098] I have made ink, oily paints and crayons, but I was able to buy all these materials at the store. Here, it is difficult to prepare equipment and materials.

…… Crayons are hardened in lipstick and lip balm cases. That’s the case with sealed containers for painting, but what should I use here?

“Hey, Lutz. What are you talking about?”

“Because what you’re thinking is leaking out of your mouth, you just have to listen to it. Until you get an answer in your own way.”

“… Is that so”

Regardless of what you make, it is difficult to align the pigments. I wonder if I can only collect cocoons again, just as I did with pencils.

“Well, unlike the past, now glue ( Niwa ) If you want to get wax, you’ll get it, so the conditions have changed a lot … “

Compared to when I didn’t have the money to buy a nail, it’s still easier to get the material. The difficulty level will surely be lower than that time.

“Hey, Lutz. It’s the same as on paper. If you don’t make a prototype for the time being, you wouldn’t know if you wanted something like this?”

When I ask Lutz to get out of Benno’s shoulder, Lutz gives up his shoulder.

“… Did you decide? What kind of ink would you make?”

“I’m going to make something from one end that will be the ink for the prints. I made a picture book because it was the best.”

When I told Lutz that we would do our best together, Lutz exhaled. “Did you not give up the picture book yet?”

“Your baby is a gift from your sister? You can’t give up?”

“… Is it right? I thought I was finally settled down, but it seems to be busy again”

Talking so, Lutz laughed as if he was in trouble, but as he found a reward.